臨床検査技師とは?
臨床検査技師の仕事
医療機関において、病気の治療や予防に必要な様々な臨床検査(血液検査、尿検査、脳波・心電図等々)を行い、精度が高く信頼性のある診断データを提供することで医療に貢献する技術者が「臨床検査技師」です。日本では、臨床検査技師等に関する法律により規定される国家資格です。
医療が高度化する中、医療の分業化・専門化が進んできており、臨床検査技師は現在の医療に不可欠な存在となっています。
臨床検査のうち、検体検査のみ行うことができる衛生検査技師という資格があり、医学・歯学・獣医学・薬学の正規課程を修めた者は厚生労働大臣への申請により免許を受けることができましたが、平成17年の法改正により平成23年4月以降の新規免許は交付されなくなりました。
愛知県内では約3,600名の臨床検査技師が多方面で活躍しています。
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微生物検査
- 所属:名鉄病院
- 氏名:池戸政博
- 卒業:2007年(平成19年)卒業、業務経験13年
- 担当:微生物検査
微生物検査は、培養検査を通して感染症治療のサポートをしています。患者さんより採取された検体(尿・喀痰・便など)からグラム染色標本を作成し、検体にどのような細菌(起炎菌)がいるかを顕微鏡にて観察します。そして、検体を様々な種類の寒天平板培地や異なる環境下で培養することで起炎菌集落を発育させ、分析・解析することで菌種名の特定と治療効果が期待できる抗菌薬は何かを調べます。常に感染症治療の最前線に位置し、適切な抗菌薬治療を遂行する上で必要不可欠な存在です。また、病院内において最も早く検出菌の情報が得られる場所です。検査で得られた結果・情報を集計し、感染拡大の予兆や傾向を把握することで院内感染防止対策に貢献しています。
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血液検査
- 所属:国立病院機構名古屋医療センター
- 氏名:後藤勇也
- 卒業:2017年(平成29年)卒業、業務経験4年
- 担当:血液検査
私は国立病院機構名古屋医療センターに勤めております後藤勇也と申します。血液検査に携わって4年になります。臨床検査技師として臨床により正確な検査結果を報告することに加え、検査結果から病態を推測し付加価値の高い情報を提供することで患者さんの早期発見・治療に繋がるよう努めております。血液検査は検査値を出すだけでなく顕微鏡での細胞観察や染色体検査、遺伝子検査など総合的な観点が必要になる分野だと思っています。そのような総合的観点から主に血液内科医師とディスカッションも行っています。そのとき自分が発した意見によって、新たな検査や治療など次のステップへ進むことができたときに特にやりがいを感じています。
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生物化学分析検査
- 所属:藤田医科大学病院
- 氏名:井上結以
- 卒業:2016年(平成28年)卒業、業務経験5年
- 担当:化学免疫検査
化学免疫検査を担当する臨床検査技師は採血によって採取した血液中の糖や総蛋白、アルブミン、コレステロール、腫瘍マーカーなどの成分分析を行い、結果の確認、そして報告を行なっています。
からだの栄養状態や異常の有無、どの部分の疾患なのか、感染症にかかっているのかなどを調べることで、病気の診断に有用なデータを得ることができます。緊急を要する患者さんの検査結果を臨床に報告し、少しでも早く処置が施され、患者さんの回復に繋がった時にとてもやりがいを感じます。臨床に迅速かつ正確な検査結果を報告することを心がけ、病気の早期発見や早期治療、健康管理に少しでも貢献できればと思います。 -
病理細胞検査
- 所属:藤田医科大学病院 病理部、藤田医科大学 医療科学部、
藤田医科大学大学院 保健学研究科 - 氏名:川島佳晃
- 卒業:2002年(平成14年)卒業、業務経験18年
(血液検査:8年、病理検査10年) - 担当:病理細胞検査
病理細胞検査は、患者さんから採取した「臓器」または臓器を構成している「組織」や「細胞」から標本を作製し、疾病の有無やどんな疾病であるかを顕微鏡で調べる検査で、組織診と細胞診に分けられます。細胞診では、がんの早期発見や診断を目的に体の細胞の一部を採取し、臨床検査技師が形態学的基準に基づいて、がん細胞や前がん病変に相当する異型細胞が出現していないかを顕微鏡で調べます。患者さんのがん細胞を見つけ出す医療職であるため責任は重大ですが、診断に関わる仕事であるためやりがいを感じています。また、日常業務の傍ら大学での講義や実習などを兼務し、現場での経験を学生に伝えて将来の臨床検査技師の育成にも貢献しています。
- 所属:藤田医科大学病院 病理部、藤田医科大学 医療科学部、
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生理検査
- 所属:トヨタ記念病院
- 氏名:鍋谷洋介
- 卒業:2011年(平成23年)卒業、業務経験10年
- 担当:生理検査
生理検査は、採取された検体を検査する業務とは異なり、患者さん本人と直に接する業務です。あらゆる年齢の、様々な病状の患者さんへの臨機応変な対応力が必要とされ、臨床検査技師としての人間力が問われます。また生理検査は、検査法・目的別の様々な機器の知識、検査手技・原理、結果の解釈・精度管理、人体の生理学・解剖学といった幅広い知識・技術を必要とされる業務のため、生涯勉強と言っても過言ではないですが、自身の臨床検査技師としての能力、人間力がスキルアップしていくことを、経験を積むにつれ実感できます。自身の幅広いスキルアップを実感できることが生理検査のやりがいと考えています。
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一般検査
- 所属:愛知医科大学病院 中央臨床検査部
- 氏名:小野内健太
- 卒業:2016年(平成28年)卒業、業務経験5年
- 担当:形態検査
愛知医科大学病院 中央臨床検査部に所属している小野内健太と申します。大学卒業後5年間検査の仕事に従事し、現在は形態検査部門に所属しています。今回はその中で携わっている一般検査がどのような検査か紹介していきたいと思います。一般検査は主に尿や便、体腔液(腹水、胸水)、髄液など幅広い分野の検査を行っており、さまざまな病院で採用されています。その中でも尿中の細胞や物質を顕微鏡で観察する尿沈渣という検査は、臨床検査技師の判断がそのまま病気の診断につながる可能性のある重要な検査の1つです。1人1人がより責任感を持って検査をする必要があり、それが日々の勉強におけるモチベーションとなっています。
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輸血検査
- 所属:社会医療法人宏潤会大同病院
- 氏名:稲生千絵美
- 卒業:2003年(平成15年)卒業、業務経験18年
- 担当:輸血検査
私は、主に血液型や不規則抗体の検査や輸血する赤血球製剤が患者さんに適合するかを調べる交差適合試験、血液製剤の保管管理を行っています。また、当院では行っていませんが、細胞治療のための細胞の保管管理を行っている病院もあります。
臨床検査の他の部門は主に診断のための検査を行っていますが、輸血検査は少し異なり、治療(輸血療法)に必要な検査を行っています。
血液型の誤判定は患者さんの生命に直接関わりますし、実際に患者さんに投与する赤血球製剤を検査していますので、緊張感をもって業務にあたり、やりがいを感じています。 -
遺伝子検査
- 所属:医療法人 豊田会 刈谷豊田総合病院
- 氏名:伊藤英史
- 卒業:2004年(平成16年)卒業、業務経験17年
- 担当:検体検査(生化学的検査・血球算定検査
・凝固機能検査・尿検査、遺伝子検査)、
輸血検査、採血業務、情報システム管理
はじめまして、臨床検査技師の伊藤と申します。遺伝子検査に従事しております。入職から17年が経過しましたが、今日まで医療は急速に高度・多様化が進み、臨床検査も日々進化していると感じています。例えば近年、治療薬が患者さんに効果的か否か、遺伝子を検査する等の個別化医療が普及してきました。専門性を活かして検査を正確に行うことはもちろんのこと、患者さんを対象とした検査内容の説明など、非常にやりがいを感じます。一方で、確かな技術や深い知識の必要性を痛感し、身の引き締まる思いです。今後も最先端医療の修得に努め、検査を通じて皆様に安心や治療の必要性を感じていただけたら幸いです。
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生殖医学検査
- 所属:竹内産婦人科
- 氏名:榊原重久
- 卒業:1990年(平成2年)卒業、業務経験25年
- 担当:生殖医療補助業務
この業務を一言でいうなら「不妊で悩んでいるご夫婦が赤ちゃんを授かることが出来るようにお手伝いさせていただく」そんな仕事です。その内容は、精液の検査・人工授精の精液処理・体外受精における採卵の補助、検卵(採取した卵胞液から卵子を見つける)、受精(体外受精・顕微授精)、胚培養、胚移植(受精卵を子宮にもどす)、胚凍結保存・解凍など多岐に渡ります。採取された卵子・精子、受精させた胚を最適な環境で操作・培養する必要があり、その操作技術が成績に直結する難しさはありますが、赤ちゃんを授かったご夫婦の笑顔を見られた時の喜びはこの業務ならではであり、やりがいを感じられる瞬間です。